違う父親の下に生まれたいです。
気が弱いくせに、子供にだけは内弁慶で親父風吹かせて威張りちらした。
親族が作った会社で「身内だから」という理由だけで才能もないのに社長に昇格。
バブル崩壊と重なった父親は、冷静さを失って親族や各方面から無計画に数億円の借金。
会社は結局倒産し、本人も自己破産。
こどもはグレるし、本人はすっかりやる気をなくして宗教に走る。
挙句のはては胃がんを発症し、手術のミスなのか、退院の翌日に血を吐いて死んだ。
親族への道義的な借金返済もほとんど進んでいないのに、先月に父親の葬式で親族が全員集まってきて、その前で残された俺たち遺族がとんだ恥をかいた。
こんなお騒がせな父親はもううんざりだ。
正直、父親を失った悲しさがほとんどわいてこない。ようやく迷惑な父親から開放されてほっとしている気持ちのほうが強い。